クルマ



クルマのデビューはちょっと遅かった。
教習所に通い始めたのが、大学卒業前の休み。
多くの友人は卒業旅行などへ出かけている頃に教習所に通い始めた。
従って自分の卒業旅行はなしである。

そもそも、それまではバイク一辺倒。
それまで何不自由なく生活が出来ていた。

しかし、いざ就職となったとき、色々と不安がよぎった。
例えば出張先で、車の運転を強いられないか?
または何かの拍子で上司から「運転してくれ」などと言われたりしないのだろうか?

案の定、自分の就職した会社は、出張先で車の運転が出来た方が絶対便利だった。
逆に残念なことは、全くバイクの優位性が認められてないことだ。
(それは多くの会社で同様な扱いであろう。)
機動性に優れている、燃費もいい、コストも車に比べたらかなり安い。

但し!…やはり危険である。
何せ身を晒して鉄のジャングルのような交通網に立ち向かっている訳だから。

当時、自分にとってクルマというのは単なる移動の道具だと考えていた。
しかも鈍重な。
自由に操れるバイクを手にしていたのでなおさらだった。

しかし免許を手にしてからは、「免許を手にしたのだから」に代わり、
クルマを買うことを考え始めていたようだ。
どんなクルマか?

何しろ、当時の基準はバイクである。
当然ながら、バイクの機動性、加速性、そして惚れ込んだバイクの格好良さ。
そのすべてを満たすクルマなぞ無いのだから、近付こうとするのは必至。
若気の至り。

あれやこれや考えて、そして肝心の(当時の)自分の懐具合を吟味して出した答えが
トヨタセリカXX(もちろん中古!)
免許を取って1、2ヵ月、ヒヨッ子が、初めて買う車がこれ。
…恐ろしい。
しかも当時はAT車は遅かったので当然のようにMTを選択。

今思えば、第三者的にも恐ろしいが、当時の自分にはやはり恐ろしいと感じた。
クルマを受け取ってから、契約した自分の駐車場の枠に入れるまでの時間、長かった。

クルマを受け取りに行く前には当然、ルートを決めていて、
路線バスが通る大通りを選んだのだが、運転技術の未熟な自分には恐怖でしかなかった。

まぁ自動車学校の教習車と比べたら、アイポイントが低くなり、
車幅感覚や左前角の位置感覚が大きく異なっていたので、きっと恐怖心になったのだろう。
帰り道には、緩いカーブの上り坂もあるので、信号待ちなどで停まらないように
祈っていたことを覚えている。
幸いにも信号に引っかかることは無かったのだが、路線バスとすれ違う時も緊張!

距離にして約3〜4kmだと思うが、初めて自分のクルマを運転した時の記憶は
「恐怖」であり、今でも脳裏に焼き付いている。

その後、徐々に慣れて来さえすれば、水を得た魚のよう…とまではいかないが、
どこへ行くにも「自分のクルマ」となり、スキーで雪山に行ったのは数か月後のこと。

…あれから幾度もクルマを買い替え、現在は8人乗りのミニバン。
家族フル乗車で週末の買い物に行く時の運転手役で頑張っている今日この頃である。




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